China 9 2012 5 6

書名 チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち
著者 遠藤 誉  朝日新聞出版

 まずは、引用から始めましょう。
きっと「知らなかった。驚きだ」と思う人が多いでしょう。
 私は、中国史や中国の文化、政治に関心があり、
中国関係の本をよく読んでいますが、
多くの本で感じることは、
これは、あくまでも私の勘(印象)ですが、
「少し違うのではないか」という思いが出てしまうのです。
(これは、学術的な根拠はなく、あくまでも私の直感です)
 しかし、この本を読み進んでいくと、
「ああ、きっと、そのとおりだ」という思いが何度も出てくるのです。
 前置きが長くなりましたので、引用をします。
これは、日本人や欧米人に知っておいてもらいたいことです。
(以下、引用)
 「中共中央」とは、文字から言うと、
「中国共産党中央委員会」のことを指す。
 しかし、そこには、
「中国共産党中央委員会政治局常務委員会」というのがあり、
実際上の「中共中央」は、
この政治局常務委員会を構成している「9人の男たち」を指すと考えた方がよい。
 日本人がよく知っている「国家主席」あるいは「首相」も、
この9人の中から選ばれる。
 今、世界は、誰が次期政権の国家主席になり、
誰が首相になるかに関して、非常に大きな関心を示している。
 誰が国家主席になるかによって、
中国の方向性が決まり、自国の政策も決まっていくと考えているからだ。
 だからアメリカは、次期国家主席になるであろうと期待されている、
習近平国家副主席を異例なほどの歓迎ぶりで、もてなしたのだ。
 しかし、中国国内においては違う。
関心は、そこにはない。
いったい誰が「この9人に選ばれるか」、それが最大の関心事なのである。
 なぜなら、中国という国家を事実上動かしているのは、
この「9人の男たち」だからだ。
 国家の方針は、この「9人」の中で多数決によって議決され、
そこで議決されない限り、
国家主席や首相といえども、単独行動は許されない。
多数決が鉄の掟だ。
これを「集団指導体制」と称する。
(以上、引用)
 私は、過去に何度も書いていますが、
中国においては、党が国家を指導する体制です。
さらに人民解放軍とは、党の軍隊であって、国家の軍ではありません。
 さて、集団指導体制というのは、欧米人には、わかりにくいかもしれません。
また、西洋化した日本人にとっても、そう言えるかもしれません。
 海外メディアでは、よく「独裁国家の中国では」と報道されますが、
これに対して、中国人は、不快感を感じるかもしれません。
 なぜならば、中国においては、
「党内の民主化」が、かなり進んでいるからです。
もちろん、「国民の民主化」は必要ですが、
中国のような巨大国家では、まず党内の民主化を完成させる必要があるのでしょう。
 さて、私の関心事は、現時点では、
「誰が次の国家主席になるか」ではなく、
「誰が次の次の国家主席になるか」です。
そして、「うまく、その道筋をつけられるか」ということです。
 さらに、政治局委員を経ないで、いきなり常務委員になるのは、誰か。
それとも、波乱なく、順当に人事が進むのか。
それが、私の関心事です。
 しかし、指導部の若返りは、常に必要です。
もう長老が支配する時代は終わったのです。
 これからの時代は、柔軟な思考が必要です。
それには、若い指導者が不可欠です。


































































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